ロープ高所作業 と 墜落制止用器具
代表の伊藤です。 現在、特別教育に関わる情報整理を改めて実施しています。
概要
「ロープ高所作業」に関しては、墜落死亡災害防止に関わる法改正として労働安全衛生規則が改正され、平成28年1月1日から施工されました。また、それに絡み、安全帯は墜落制止用器具に変更されるなど、法律用語の整理も進んでいます。
この一連の流れは、ISO22846を目指している印象を受けます。
所見
高所作業について、国レベルで世界の流れを取り入れるという大きな流れ。ついに、世界的な知見が国レベルで導入される!という期待感、海外規格を取り入れようという動きがある一方で、日本独特の再解釈により、独特のわかりにくさが出てしまっている印象を受けます。
海外製品について
EN規格では、ハーネスに関して複数の規格を設けています。 これはアルテリアさんのまとめにわかりやすく掲載されています。
EN361 : フルボディハーネス
EN813 : シットハーネス
EN358 : ワークポジショニング及びレストレイン用ベルト、ワークポジショニングランヤード
ひとつの製品に対して複数の規格を通すことは普通です。
日本製品について
墜落制止用器具の規格が施工されています。
用語の整理も進んでいます。 用語の整理は、藤井電工さんのサイトが見やすいです。
混乱のポイント
ISOやOSHAを参照しており、データに根ざした改正が進む一方で従来の安全帯構造指針からの脱却がしきれていないのでは無いか?と思う点があります。
それは「身体保持器具」についてです。
安全帯は、安全帯構造指針1999により指針が決められていました。 この中には、バックサイドベルトなどのワークポジショニング用ハーネス(つまり身体保持器具の指針)の記載があるにも関わらず、今回の法改正においては、「安全帯」⇨「墜落制止用器具」という読み替えを持ち込んでしまい何を参照すべきかわからなくなってしまった...印象を受けます。
もちろん世界的にはSafety Beltは死語になっているという流れ、法律用語と規格を一対一に対応させたかったという意図は感じます。ただし、「身体保持器具」が宙に浮いてしまっており、混乱が生じます。
具体的には、上記の通り「墜落制止用器具」の規格は整備されましたが、「身体保持器具」の規格は整備されずにいます。 では、何を参照すれば良いかといえば、基発0805第1号 通達の細部事項での言及しかありません。これももとを正せば、「ブランコ作業における安全対策検討会 第二回」で発言・引用された安全帯構造指針1999によるもの?という連想を抱かざるを得ません。
墜落制止用器具の規格整備に伴い、「身体保持器具」についても整備されることを願います。
特別教育規定
この話題に絡む、特別教育は下記のとおりです。
第40号 ロープ高所作業
第41号 墜落制止用器具
この2つは一体感を持って捉えることが重要と考えています。
ご指摘ありましたら、遠慮なくお知らせください! info@japansoraito.com
日本の墜落災害撲滅に少しでも寄与したい。 という想いのもと、出来る限り最新情報を盛り込んだ特別教育および社員教育が出来るようにと心がけています。
Posted by norimitsu.i at 6:39 日時 2020/07/24
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